Strange Tortoiseの妄想博物館

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台湾一周鉄道旅 2017年10月15日(日):高雄→台南

いよいよ最終目的地の台南へ向かう日。この旅で初めて雨の降っていない朝を迎えた。 午前中は高雄を観光し、午後、鈍行電車で台南へ向かう予定。 朝食後、チェックアウト前に散策。まずは気になっていた建物、高雄市立歴史博物館へ(入館料無料)。 なるほど、1939年、日本統治時代に市役所として清水建設によって建てられただけあって、同時代の日本にもある帝冠様式の建築によく似ている。

 

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高雄市立歴史博物館

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エントランスの階段

 

館内ではやきものの歴史、高雄の漁業の歴史の特別展示、228事件の展示、さらには日本の新鋭写真家の写真展なども行われていた。 やきものの展示が良かったので、簡単な図録を購入。

 

日がさしてきて南国のような暑さがやってきた。 貢茶(ゴンチャ)にて、微糖のマンゴーアイスティーで喉の渇きを潤す。 ホテルに戻り、チェックアウト。出発まで荷物を預かってもらうことに(朝のフロントはアンタッチャブル柴田似のお兄さん)。 ここから歩いて港に向かい、フェリーで旗津へ行くことに。 フェリー乗り場(鼓山輪渡站)に行く途中、広い芝生の公園があった。旧高雄港駅跡らしい。 旧駅舎は鉄道資料館になっており、前には汽車が止まっている。その横にはライトレールの駅があり、懐かしい汽車と最新のライトレールとのコラボ姿を拝めるので鉄道マニアにはうれしい場所かも。

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左はライトレールの駅、右に汽車が

 

フェリー乗り場までの道のりも、なかなか魅力的な建物が並ぶ。 かき氷の店も軒を連ねている。 さて、旗津(チージン)とは、かつて半島で高雄の街と陸続きだったのが、船を通すため切り離されて島となっているところ。 フェリーで5分程度で行き来できる。フェリーも悠遊卡を使用できる(往復40元)。 taiwan4-05.jpg
船上から旗津のフェリーターミナルを望む

 

フェリーを降りてすぐのメインストリートの入口には高雄で一番古いという天后宮、そして店先のいけすの魚介類を調理してもらえる海産物屋が立ち並ぶ。 島の端の高台には灯台もあるが、そこまでの時間はないので、海岸へ出てみる。 海水浴場として整備されているが、この日は台風の影響で波が荒くて遊泳禁止。サーファーだけが楽しんでいる。 ちょっと鄙びたビーチリゾート感があり、江ノ島か熱海あたりか…といった趣き。 taiwan4-06.jpg
海産物屋が立ち並ぶメインストリート

 

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旗津海水浴場

 

海産物屋の呼び込みの喧騒を避け、裏通りを通ってフェリー乗り場へ戻る。 途中にあったローカルな虱目魚(サバヒー)専門店で昼食をとることに。 地元のおじさんなどで賑わう店。わたしはサバヒー魚丸(つみれ汁)をいただく。 暑い中、ちょうどよい塩かげん。肉燥飯とセットでサバヒー汁を食べている人が多かったのでわたしも食べればよかったなぁ。

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主に地元のおじさんでいっぱい

 

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サバヒー魚丸(つみれ汁)

 

フェリーで高雄港側に戻り、デザートに、かき氷と豆花の店「福泉」でマンゴーかき氷を。 地元の人がひっきりなしに訪れる有名店。隣にもかき氷店があるのだが、みんなこちらにやってくる。 マンゴーなどフルーツ系から、抹茶やミントチョコなど台湾では珍しいイメージのものもあった。 なにやらカラフルな氷を食べている子どもたちも。 taiwan4-23.jpg
福泉」のマンゴーかき氷

 

ホテルに戻り荷物をピックアップし、地下鉄で高雄駅へ。 そこから台鉄の鈍行列車(悠遊卡使用)に乗って台南へ向かう。鈍行だと約1時間の道のり。 ボックス席の窓際でのんびり。天気が良くて嬉しい。 4年ぶりの台南には、お目当ての建物もいくつかあるのだ。 まずは到着した台南駅の駅舎。こちらは前回、工事中で外観が拝めなかったのだ。 想像通りかわいらしい外観の駅舎でわくわく。 taiwan4-10.jpg
台鉄台南駅

 

台南の地図はすでに脳内に刷り込まれている。 ホテルまではタクシーを使えば早いが、道中、再会したい建物があるので歩いていくことにした。 まずはこちら。大きな通り(中山路)をちょっと入ったところにある建物。隣には祠もある。 taiwan4-11.jpg

前回もつい惹きこまれ、写真を撮っていた。その時はおじいさんがやっている荒物屋さんだったと思う。

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前回(2013年)撮影したときのもの

 

今回は、建物や正面の看板はそのままで、なにやら若者でにぎわうカフェ?のようなお店になっていた。 不思議な立地と、カッコいい建物。おじいさんのお店じゃなくなっても、良い感じに再利用されていてなんだかうれしい。 台南にはこんなふうに古い建物をリノベーションしてカフェや雑貨屋、宿泊施設などになっているところがたくさんある。 その少し先を行くと、この旅一番再会したかった建物No.1が見えてくるはずだ。 が…、様子がおかしい。工事のシートがかけられているではないか! あの白い外壁が剥がされている!

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シートに被われる建物

 

1938年、日本統治時代に建てられ、現役の台南消防署(正確には台南市消防局中正分隊というらしい)。 前回、「ラブ・ストーリーは突然に」ばりの出会いを果たし、そのあまりのけなげな可愛らしさに思わず抱きしめたくなった建物なのである。 taiwan4-14.jpg
前回出会った時の姿

 

老朽化でついに壊されてしまうのだろうか…やわらかい風になって君をつつむことができずにごめんよ…と泣きそうになりながら近寄ると、この建物の歴史と、修復工事の進捗状況が写真パネルで丁寧に紹介されているではないか。 日本統治時代の建物を大切に守る心意気。塔にたくさん巣づくりをしていた燕たちを保護している様子の写真もある。

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君のためにつばさになって君を守り続けてくれるのは台南の人たちだったんだね…(泣) きれいに生まれ変わったらまた逢いに来なければなるまい。 ここで若干、力を使い果たし、ホテルまでの残りの道のりがとても遠く感じられた。 台南の2日間を過ごす宿は、思ったよりにぎやかな正興街に面した佳佳西市場旅店だ。

 

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佳佳西市場旅店外観

こちらも古いホテルをデザイナーや建築家によってリノベーションされた施設。 わたしの部屋もデザイナーズルームだった。ドアを開けていきなり洗面台には驚いたが、女性向けっぽい、やさしい感じの部屋。 暑いが湿気もなく、心地いい陽気の台南。 ぶらぶら歩いて、夕食は担仔麺の元祖の店と言われる「度小月」へ。 人気店らしく、外であらかじめメニュー用紙にチェックを入れ、番号を振られて待たされる。 少し待つとカウンターに通された。 担仔麺に煮卵をトッピングしたものを注文。 美味しいのだが、量が少ないっす…。あと2杯は食べたいっす…。というボリュームだったのが今一つ残念。

 

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す、少ない

 

完全に満たされない腹のまま、林百貨へ。こちらも前回来たときはリニューアル工事中だった。

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林百貨外観

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林百貨の階段

 

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林百貨のエレベータの床タイル

 

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林百貨内のカフェ。夜は空いている

 

夜10時まで営業しているので、ゆっくり買い物できるのがうれしい。今日は偵察。 雑貨や服など、売っているものもお洒落。お土産にちょうどよいお菓子やお茶など、食料品も種類が豊富。 カフェやイートインスペースもある。ここで八宝肉包と酸梅湯をいただきお腹を満たす。

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イートインスペースでいただいた肉包は日本語で「ハヤシ百貨店」と焼印が

 

なんだかホームに帰ってきたような安心感のある台南のまち。 少しぶらついて、ホテルへ戻る。