Strange Tortoiseの妄想博物館

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建築探訪6日間の旅~或いは、センチメンタルジャーニー~3日目・門司港

2018年3月23日(金)
ホテルの朝食バイキングがすばらしかった。いつもはビジネスホテルの簡素な朝食バイキングなのでこれはとても新鮮。
和洋食あるが、わたしは洋食中心に、サラダ、フルーツ、パン(自家製ジャムが数種類)、そして門司港名物の焼きカレーも。焼きカレーはランチにするつもりでいるが、やはりこのホテルの味もいただいておきたい。
さらに、朝からスパークリングワインも置いてある。ちょっと気になったが自粛。和食もチラ見したところ、明太子や高菜粥など名物があるようだ。ここはやはり1泊ではもったいない。いくつもの朝を門司港で迎え、この朝食を何度でも何度でも食べたい。
 
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美味しくて食べ過ぎた
 
そんなわけで少々食べ過ぎてきついお腹をかかえて街歩きに出発。
まずホテルからもほど近い旧大阪商船ビルをちらり。そして旧門司三井倶楽部へ。1921(大正10)年に三井物産の宿泊施設・社交倶楽部として現在より山側の土地に建てられたが、門司港レトロ地域開発にあわせて現在地に移築された。ここは大正時代にアインシュタインが宿泊した部屋が再現されており、また、門司出身といわれる林芙美子の資料室もある。1階にはレストランと観光案内所もある。案内所で街歩きの所要時間やオススメの焼きカレー屋を尋ねてこの建物を後にした。
 
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旧門司三井倶楽部
1921(大正10)年
重要文化財/近代化産業遺産
 
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アインシュタインが宿泊した部屋を再現
 
門司港レトロエリアは1時間くらいで歩いてまわれる距離、と言われたが、それは単純に移動距離だろう。わたしは建物を見たり、裏路地に入ってみたりするのでもっとかかってしまうはずだ。

スタンプラリー台紙も入手したので、ひとまずそこに載っている場所に行ってみることに。
ちなみにこのスタンプラリーは集めても何かもらえるわけじゃないのが逆にすごい。だが、それでも集めたくなってしまうのがスタンプラリー。
 
まず、スタンプラリーには入っていないが見たかった角丸物件、門司電気通信レトロ館へ。こちらは山田守設計の旧逓信省門司郵便局電話課庁舎。中では昔の電話機や交換機などを展示している。携帯電話なんかも型式編年で並んでいる。平野ノラの「しもしも~?」でおなじみのショルダー式電話機は重さを体験することもできた(3kgぐらいある)。展示も楽しめる歴史的建造物だ。
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門司電気通信レトロ館(旧逓信省門司郵便局電話課庁舎)
設計:山田守 1924(大正13)年
近代化産業遺産
 
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公衆電話の型式編年展示
 
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こちらは携帯電話。しもしも~?

次に、港のエリアへ。
タワーマンションの最上階が展望施設になっている門司港レトロ展望室へ。壇ノ浦など関門海峡を眼下に眺めることができる。
ちなみにこのタワマン「門司港レトロハイマート(1999年)」の設計者は黒川紀章である。
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展望室からの眺め
 
対岸の下関は意外と近い。船で5分ほどで渡れるようだ。次回は門司を拠点に下関へも足を伸ばしてみたい。
そして、ランチはもちろん焼きカレー焼きカレーマップも駅や観光案内所でもらえる。
観光案内所で薦められた、第1回焼きカレー倶楽部コンテストで1位を獲得したという「CAFE DINNING BEAR FRUITS」へ。やはり人気店らしく混雑しているが、運よく席が空いていた。
焼きカレーは食べ比べてみないとわからないけれど、案外どこも大差ないのでは…という気が。
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これが噂の焼きカレー。マンゴーラッシーとセットで。

以下、巡った建築を紹介。
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旧門司税関
1912(明治45)年
近代化産業遺産
1927(昭和2)年まで庁舎として使用、その後、民間に売却され、倉庫として使われていた。
1995年、門司港レトロ地区整備に合わせて復元。現在は税関広報展示室、カフェが入っている。
 
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北九州市立国際友好記念図書館(2018年3月末で閉館、10月に観光施設としてリニューアルオープン予定)
北九州市と中国・大連市の友好都市締結15周年を記念して1995年、竣工。
大連にあったロシア帝国による東清鉄道汽船会社事務所(1902年)の建物の複製建築。
1階の中国料理レストランは営業中とのこと。背後の高層建築が展望室の入るタワマン。
 
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旧大阪商船門司支店
設計:河合幾次 1917(大正6)年 
登録有形文化財/近代化産業遺産
現在はギャラリーやアート雑貨のショップ、カフェなどが入る施設になっている。
 
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ホーム・リンガー商会 
1962(昭和37)年
建物は比較的新しいが、由来は長崎で1868年にイギリス人貿易商のフレデリック・リンガーとエドワード・Z・ホームが設立したという企業。当時の日本人従業員が戦後再開し、現在は船舶代理業を行っている。
ちなみに、リンガーの旧宅(重要文化財)は長崎のグラバー園に遺されており、その名はリンガーハットの店名の由来にもなっているというトリビア
 
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夜の旧大阪商船とホーム・リンガー商会。異国の風景のよう
 
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旧大連航路上屋
1929(昭和4)年
設計:大熊善邦
もともとは門司税関1号上屋として建設され、門司港の国際旅客ターミナルとして使われた建物。
出入口の半円形の監視室が印象的なアールデコ建築。
現在では、ホールや多目的スペースなど、アート施設として利用されている。
また、映画資料を集めた「松永文庫」があり、門司港出身の松永武氏のコレクションを展示している。
 
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九州鉄道記念館(旧九州鉄道本社屋)
1891(明治21)年
登録有形文化財/近代化産業遺産
本館は九州鉄道会社の本社として建てられたもの。
外にはSLや昔の特急列車も展示されている。ショップには楽しい鉄道グッズがたくさんあり、ついつい購入。
 
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三宣楼(突きあたりの木造建築)と萬龍

三宣楼は昭和6年築の木造3階建の料亭。
現存する木造3階建ての料亭の建屋としては九州最大級の規模とのこと。
中には展示室もあり、見学できるようだが、時間の都合もあって残念ながら今回はスルー。
こちらは解体の危機を市民の力で保存再生されたものと知り、ますます興味深い。
https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00616/
 
その三宣楼に行く途中の気になる建物、中華料理 萬龍。
既に閉店し、近くに移転営業しているようだが、かつては貿易協力會舘という建物だったらしい。
 
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日本郵船ビル(旧日本郵船 門司支店)※外観のみ見学
現在の建物は昭和2年のもの。当時のエレベーターが現役らしい。
改修を重ねて当初のアールデコ装飾は一部に残るのみ。
 
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北九州銀行門司支店(旧横浜正金銀行門司支店)※外観のみ見学
設計:桜井小太郎 1934(昭和9)年

門司港の観光情報はこちら

夕刻、小倉から新幹線で一路、次の目的地・神戸へ。
 
この日の脳内ヘビロテもしくはテーマ曲:「そして神戸」内山田洋とクールファイブ(1972年)
“そしてひとつが終わり そしてひとつが生まれ 誰か うまい嘘のつける相手捜すのよ”