Strange Tortoiseの妄想博物館

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台湾一周鉄道旅 2017年10月14日(土):台東→高雄

朝から雨。

午前中は少し観光するつもりでお昼過ぎの電車を予約していたので、雨の中、外出。

持参した折りたたみ傘も壊れたので、コンビニで長い傘を購入。

ホテルから歩いて5分位の台東鉄道芸術村へ。

 

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台東鉄道芸術村

 

かつて使われていた台東駅跡が残され、アートスポットとして活用されているらしい。

朝早く、雨のせいか、ひと気もなく、なんだかさびしい感じ。

ここはバスターミナルにもなっているので、駅まで行くバスの時刻表を確認するも、やはり本数が少なく、ちょうど良い時間帯のものがなかった。

 

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日本時代のものか

 

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こちらも日本家屋

 

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屋根が日本家屋のお店

 

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ホテルに近い裏通りにあったこの建物は刑務所!

 

朝の街を少し歩くと、日本家屋のような建物にいくつか出会う。

もう少しこの街を味わいたかったと思いつつ、ホテルでタクシーを呼んでもらい、早めに駅へ向かうことにした。

 

駅で台鉄弁当を食べよう!と、早めに着くも、すでに売り切れの表示…。

しかたなく売店セブンイレブン)の台鉄弁当もどきの弁当を買って食べる。

駅構内には野良犬もうろつき、おこぼれを狙っている。

 

自強号308 台東→高雄 12:46発 15:40着(2時間54分)

 

雨は相変わらず激しい。

電光掲示板ではオンタイムとのことで改札に入る。

しかし、ホームまでの地下通路が水没しているぞ…大丈夫か…。

 

ホームで電車を待っていると、駅員がなにか言いに来た。

どうやら電車が遅れているらしい。ざわつく人々。

 

何言っているかわからないので、近くにいた作業服姿の職員にスマホの翻訳画面を見せて電車がどのくらい遅れているのか尋ねた。

「止まっちゃってるんだよ…」というようなことを言っていたようだが、「今、こんな感じだからさ…」と、わざわざ自分のスマホを出して水没した線路の画像を見せてくれた。

 

おお、これは…いつ動くかわからないな…というようなちょっとした衝撃画像。

動かなかったら台東でもう1泊だな…そうしたら高雄のホテルに連絡しなきゃ、切符の払戻しは…などと頭をよぎる。

 

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ここで延々待ちました…

 

その後の状況のアナウンスなど全くないままだが、人々はじっとホームで電車を待っている。中国からと思われる団体旅行客もいたが、わいわいおしゃべりしながら時間をつぶしている。

日本だったら、「いつ動くんだ!」「振替輸送は!」とか怒号が飛びそうなところだが…。

やがて、遅れていた電車がぼちぼちやってくるようになり、これかこれかと人々もざわつく。

わたしは台鉄の時刻表サイトをみながら、到着する電車と照し合せてどのくらい遅れているのかを確認することに。

どうやら、どの電車も3時間くらい遅れているようだった。目安がわかれば気分も多少落ちつく。

3時間遅れても電車が動けば今日中に高雄に着ける。雨が吹きつけるホームで辛抱強く待っていると、乗る予定の自強号308がやってきた。

およそ2時間半遅れ。ようやく移動できる!

 

台東→高雄間は美しい海岸線の風景を楽しめるはずだった。

せっかく窓側の席だったのに、荒れた灰色の海ばかり…。

しかし、うなぎ養殖池やバナナ畑など、そこならではの風景を見ることができた。

 

約2時間半遅れで高雄に到着。

地下鉄に乗り換え、ホテルに向かう。

 

地下鉄の駅から歩いて10分弱で到着。フロントのアロハっぽいユニフォームのお兄さんたちもフレンドリーで(一人はキリンジ堀込兄っぽい風貌)、南国感。英語も通じる。

なんだかこの旅一番落ちつける時間がやってきたようだった。部屋も広めでくつろげる。安かったのに。

ここまでは数年ぶりの海外一人旅で少し気を張っていたところもあった。

珍しくテレビなどつけてみると、今日の豪雨のニュースをやっていた。どうやら台風の影響だったようだ。

主に台東など東側の各地で被害があったらしい。電車が止まっていたことも報じている。

一時はどうなることかと思ったが、復旧してくれてありがとう、と台鉄に感謝。

 

高雄は雨も小止み。夕食のため街へ出る。

名物の鴨肉飯の有名店が意外とホテルの近くにあったので、入ることに。

テイクアウトも可能で、ひっきりなしにお客さんが訪れている。

ほろほろとした肉がおいしい。鴨肉のダシに生姜がきいたスープもついてきた。

ちなみに、鴨肉とは、カモではなく、アヒル肉のこと。そういえば、車窓からアヒルが沢山いる池(養殖池?)が見えたな。

 

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ヒルをさばく人たち

 

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肉がほろほろで美味しい

 

ちょっと歩いた高雄の街は、なんとなく昭和感。下町みたいな商店街もある。

テレビの歌謡番組も日本の昭和歌謡や演歌のような曲を歌っている。

まるでタイムスリップしたようだった。落ちつく…落ちつくわ…。

 

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「堀江商場」という仲見世的な商店街

 

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テレビの歌謡番組では昭和歌謡的な曲「台北今夜冷清清」が流れる

 

この旅で唯一バスタブのある部屋だったので、湯につかりゆっくりくつろいで就寝。

台湾一周鉄道旅 2017年10月13日(金):台北→花蓮→台東

この日滞在したホテルにはレストランがないため、朝食は外で調達。

隣のファミマでシーザーサラダを、向かいにある檳榔の看板がでている屋台風の店でチキンエッグバーガーと珈琲を買い、部屋で食べる。

 

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漢堡=ハンバーガー、三明治=サンドイッチ

 

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このバンズがふわふわで美味しかった

 

感じの良い年配のご夫婦でやっているこの店は、鉄板で肉や卵を焼いていて、バーガーやサンドイッチ、大根餅、蛋餅を売っている。

適当にバーガーを頼んだが、よくあるバーガーショップのよりも美味しかった。バンズがふわふわで美味しいのだ。

珈琲はデフォルトで砂糖・ミルク入りの甘いやつだったけど…。

 

さて、花蓮に向かう。

自強号410 台北花蓮 07:57発 10:16着(2時間19分)

 

座席は山側の窓席。海側がよかったけれど、この天気では景色は楽しめないのでまあ、いいか…。

 

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こんな風景が続く

 

花蓮は太魯閣観光の玄関口。かなりの観光客が降り、駅前も人でいっぱいだ。

まずは行李房をさがす。いわゆる手荷物一時預かり所だ。改札を出て右手にあった。おばあさんが一人でやっている。

荷物を自分で奥の部屋に運ぶよう指示され、大きさを見て値段を提示され、引換券を渡される。わたしの荷物は小サイズで30元だった。

 

バスターミナルへ行き、市街地へのバスを尋ねると、ちょうど目の前に止まっているバスを指さされたのでタイミングよく乗車。

悠遊卡も使えた。どこ行きでどこに止まるのかもよくわからないが、とりあえず市街地あたりで適当に降りよう。

10分位走ったところだろうか、花蓮文化創意產業園區のバス停に止まったので、下車。

雨は相変わらずひどい。雨宿りがてら、この施設を見学することに。

 

花蓮文化創意產業園區

日本統治時代の醸造所をリノベーションした文化施設。広い敷地内に点在する建物は、雑貨店、ギャラリー、レストラン、カフェなどに利用されている。

醸造所で利用されていた道具などを展示しているコーナーもあった。

 

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そろそろランチタイム。

事前の情報収集によると、花蓮の名物料理は扁食(ワンタン)とのことで、花蓮文化創意產業園區からもほど近い液香扁食店に。

お昼少し前に入れたが、出る頃には満員の人気店。メニューは一杯70元のワンタンのみ。豚肉がたっぷり包まれたワンタンとセロリ風味のあっさりスープ。

そのままでも美味しいが、お好みで醤油や豆板醤を入れてちょっと味を変えて食べるのもよい。

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ここからぶらぶら花蓮の街を歩いて、松園別館へ。

 

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歩く道中にみつけた角丸物件。美容院。

 

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花蓮港教会

 

松園別館

こちらは日本軍の指令所として使われていた建物。神風特攻隊が出征前に宿泊し、天皇からの「御前酒」を賜る場所でもあったという。

軍事施設らしく見晴らしの良い高台に建つ。

入館料は50元。ギャラリーやカフェ、お土産ショップなどになっている。

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ここでまたひどい雨に。電車の時間を気にしつつ、カフェで雨宿り。

駅までは歩いて30分と見込んだ。途中、運よくバスがあれば乗ろう。

雨はなかなか止まない、時間切れだ。

帰り際、掃除のおじさんが話しかけてきたが、言葉がわからないので「What?」という顔をしていたら、

「あれぇ?なに?日本人?」と言われ、「私は太魯閣出身。どこから来たの?東京?大阪?」と矢継ぎ早に。

電車で台湾一周することを伝えると「えー、ひとりで!がんばって!」と握手して別れる。

会話に飢えているので、日本語話してくれる人がいるとなんだか安心するものだ。

 

とりあえず歩いて駅まで向かう。

途中、「将軍府」なる施設が。こちらも日本軍の将校の宿舎だったところで、なつかしい感じの建物が残る。

中から昭和歌謡が大音量で流れていたり、侍のハリボテがあったり、かなり気になる謎施設だが時間がないので通るだけ…。

次に花蓮に来る時は必見スポットだな。

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花蓮一の珍スポット?

 

なーんて寄り道していたら、駅に着いたらかなりギリギリの時間。急いで駅の行李房で荷物を受け取り、改札へ。

5時間あるし!と思っていたけれど、雨で足止めをくらうことが多くていつものペースで歩き回れず、全く時間が足りなかった…。

天気がよければ駅前でレンタサイクルという手もあったのだが。

 

自強号324 花蓮→台東 15:24発 17:34着(2時間10分)

 

花蓮→台東間は米どころということもあり、田んぼの風景が広がる。

田んぼの周りはヤシの木という面白い光景。

 

雨は強さを増す。台東に着いたころにはもう真っ暗。

「台東は田舎なのでタクシーが駅にいないかも、そして市街地へのバスも本数が少ない」といった情報をネットで見ていたので、ホテルに到着時刻のお知らせとタクシーを呼んでおいてもらおうと英語でメールしておいたものの、返事が一切こない…。

駅を降りると、いちおう、タクシー乗り場的なところはあり、2、3台来ているが、ジャージぽい服装の運転手が降りてダラダラとタバコ休憩している感じ…。ホームレスみたいなおじいさんもふらふらしている。日本でもタクシーはほとんど乗らないのだが、台湾での初タクシーがここではちょっと不安…。

しかし、乗らないことにはホテルに着かないのだ。

とりあえず、1台見送ってなんとなく安心できそうな社名入りのタクシーに乗り、ホテル名のメモを渡すと無愛想に頷かれた。

念のため、タクシーナンバーと運転手名をメモ…。

 

暗闇の道を進む。市街地まではやはり距離がありそうだ。

着くまでは油断できない、とちょっと緊張。どのくらいだったろうか。とても長く感じた。20分、30分?

無事ホテルに到着。事前に調べていた値段の範囲(250元前後)の220元。良かったー、ボられていない。

 

チェックインでは「あのぅ、メールしておいたんですけど…」的なことを言ってみるも「フフ…?」という感じで。

この辺りはあまり英語が通じないのかと思った。わたしの英語がおかしい可能性もあるが。まあ無事着いてよかった。

 

さて、昼はワンタンだけだったのでお腹も空いてきた。

BRUTUS台湾特集号にも載っていた臭豆腐の店がホテルから近いようなので、行ってみることに。

 

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臭豆腐

 

人気店らしく、お客がひっきりなし。わたしは人生初の臭豆腐なので、小皿を注文。

意外とおいしい。多少臭みはあるが、カリカリの豆腐に甘辛のタレが美味しかった。

 

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正氣路

 

これだけれはちょっと足りない…と思い、いろいろな店のネオンがまぶしい正氣路を歩くも、雨がすごい。

臭豆腐屋の隣に気になる氷の看板があったので、逃げるように入ってみる。

 

目玉メニューらしき、米苔目氷のポスターが気になる。

お腹の足しにもなりそうだし、せっかくなので、それを注文。

後で調べると、米苔目(ミータイムー)とは、米からできた麺。台東の名物らしい。

 

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米苔目氷

 

見た目は普通の黒糖かき氷だが、食べ進めると、下の方にうどんのような麺と小豆、寒天がごろごろ。

なんとも不思議な食べ物だが、悪くはない。意外といける。

給食で食べたソフト麺をちょっと思い出したり。

 

風雨はますますひどくなる。

傘も役に立たず、ほんの数十メートル先のホテルまでジーパンの膝下はずぶ濡れ、スニーカーは水没というありさま。

部屋にもどりすぐさま乾かしに入る。

 

雨さえなければ、夜市に行ったり、帆布バッグ屋さんに行ったり、味のある台東の街をもっと楽しめただろうに…残念。

台湾一周鉄道旅 2017年10月12日(木):台北

6日間の旅程、台湾の天気はずーっと雨予報。しかも雷雨や暴風雨予報の日もある。

日本も同じように天気が悪いようだが、旅先で毎日雨というのは、ちょっと萎える。

 

初日は朝9:20成田発のバニラエア。前月の教訓を生かし、出発3時間前に空港についたものの、チェックインカウンターが開く前に機械でオンラインチェックインできてしまい、預入荷物もないため、ずいぶんと時間を持て余してしまった。

LCC搭乗は、座席の前が狭いことくらいで、とくに問題はなかった。

 

台湾桃園空港は、前回同様、入国審査にかなり時間がかかる。

両替をして、審査に並んで通るまでに小一時間は過ぎてしまう。

 

さて、今年は桃園空港から台北間のMRTが開通したということで、早速乗ることに。

空港の到着ロビーに出るとMRTの案内カウンターがあるので、悠遊卡(ユユカ、日本におけるSuicaのような交通系ICカード)を購入(デポジット100元)し、1000元チャージ。

これを持っているとこの先大変便利なのだ。MRTが少し割引になったり、コンビニでも使えたり。

 

MRTに乗る前に、昼食。

空港第1ターミナル地下、MRT乗り場へ行く途中に、フードコートがある。

あまりガッツリ、というお腹具合でもなかったので、なんだか美味しそうな鶏の唐揚げとキノコの唐揚げを購入。これが意外と美味しかった。とくにキノコはおつまみにしたい味。

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くまもん的なキャラのお店。左がキノコ、右が鶏

 

 

MRTで台北まで、各駅停車で約50分(急行なら約30分)。あまり急ぐ旅ではないので、ゆっくりと。

台北駅につくと、地下でMRT他線や台鉄や高鉄の駅にまっすぐつながっており、わかりやすい。

まずはここで、日本でオンライン予約した鉄道切符を引き換えることに。

台鉄の券売機で予約済切符の引換を。予約番号とパスポート番号があればOK。自強号3枚分を一気に発券。

次に高鉄の券売機で最終日の新幹線の切符を発券。これでこの旅の予約済み鉄道切符をすべて手に入れた。ここまで順調!

 

ホテルへ向かうため地上に出るとかなりの雨。

しかし思いのほか地下街の出口から近かったので助かった。

 

チェックインして、少し休憩。

本来、この日は淡水へ行って夕日を眺めてカフェでまったりしたり、夜市で美味しい物を食べたいと目論んでいたのだが、外はとんでもない雨。

 

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雨の激しさがおわかりいただけるだろうか…

 

しかし、せっかくの台北滞在。地下鉄で移動し、台北101近くにある四四南村の気になる雑貨屋さんで少し買い物。

駅までの少しの距離を歩くのも憚られるほどの土砂降り…。しばし雨が弱まるのを待つ。

が、いつまでたっても弱まらず、しかたなく速足で駅へ戻り、地下を通って台北101に入った。

 

ここにはとても広くて充実したフードコートがあり、会社帰りのサラリーマンやOLも食事をしている。

お店がたくさんあって迷ってしまうが、定食屋さんのようなお店の新竹魚丸スープ、ゆで野菜(この日はキャベツ)、煮たまごをいただき、食後に具がたっぷりのグレープフルーツミントティーを飲んで帰る。

 

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今日は素朴な食事

 

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フルーツたっぷり。キャラクターの目にストローを刺してしまった…

 

ちなみに、台北101には小龍包でおなじみの鼎泰豐(ディンタイフォン)もあるのだが、大変な混雑。入口には銀行みたいな整理券番号表示マシンもありびっくり。観光客だけではなさそうな混み具合は地元民にも大人気ということなのだろうか。

 

さあ、明日からいよいよ電車移動だ。

台湾一周鉄道旅 2017年10月12日(木)~10月17日(火):準備編

2013年9月に夏季休暇を利用して初めて訪れた台湾。

そこかしこに残る日本の面影のせいか、まるで故郷のような懐かしさを覚え、なぜ今まで訪れなかったのか後悔すると同時に、この先もたびたび訪れる場所であろうことを予感したのだった。 ちょうどそのころから、台湾は女性誌などでも特集されることが多くなったように思う。 台湾グルメやお洒落なカフェ、かわいい雑貨などをとりあげた女子向けガイドブック的なものも数多く出ている。 また、最近では、台北以外の都市や鉄道旅などを紹介した本や雑誌もあり、まさに台湾旅行ブームともいえるのではないだろうか。

九州と同じくらいの広さだという台湾は、一日あれば鉄道で一周することも可能であることを知り、退職して時間ができたらぜひ実現したいと考えていた。

 

まずは日程を確定し、航空券を手配。 前回の台湾旅と同様、宿も合わせてDeNAトラベル(現:エアトリ)を利用。 初めてのLCC、バニラエアのシンプルバニラというプランにしたところ、預入荷物は別料金となり、手荷物だと重量制限があることが判明(旅行当時は10Kg、現在は7Kg)。ふだんから荷物多めのわたしは、まず、容量が多くて軽いキャリーバッグを探すことにした。荷物を極力減らす、というのも今回の旅の課題のひとつとなった。 鉄道旅であること、持ち歩く時間が長くなる可能性を考慮し背負うこともできるバッグを購入。バッグ自体の重さが3kg弱と軽量なのに43Lと容量が多いのが決め手。

 

つぎに、ざっくりとした行程を決め、宿を手配。 台北から東海岸回り、台北花蓮→台東→高雄→台南→桃園という行程とした。本当はもっと滞在したいところもあるのだが…。 当初の予定では初日に花蓮まで移動するつもりで花蓮で1泊予約していたが、前月のベトナム旅行出発日のアクシデントがあったことを鑑み、余裕をもって台北1泊に変更した。 宿は、立地と価格を重視し、口コミでよほどひどくなければ決定。今回の宿泊先は下記の通り。価格はその時々によって変動すると思われる。また、先に航空券を取っていたのでセット割になった宿もあった。

 

初日:台北泊 シティインホテル タイペイステーション ブランチ I (新驛旅店台北車站一館) ¥8,577 朝食なし

少々高い気がしたが、思ったよりも台北駅に近かった。部屋は狭いが清潔で、フロントの方も丁寧だった。古いビルの安宿をリノベしたらしい。部屋に冷蔵庫がないのが残念(2Fに共同使用の冷蔵庫有)。隣にファミマ、斜め向かいにスタバなど近くに飲食店が充実。

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ベッドでほぼいっぱいいっぱいの部屋

 

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各フロアの廊下には椅子と雑誌、お菓子などが置いてある

 

2日目:台東泊 イエスホテル (楽知旅店) ¥5,180 朝食付

台東は駅から市街地が遠く、宿泊施設もそれほど多くない。市街地で比較的大きそうなところを選んだ。こちらもリノベ後なのか、設備も部屋もきれいだった。フロントは学生にみえる若い人たちで、英語がいまひとつ通じにくい気がした。 taiwan0-03.jpg
ベッドキッチキチとなりに台湾あるあるのガラス張りシャワー&トイレ

 

3日目:高雄泊 フアホウホテル (華后大飯店) ¥3,821 朝食付

港に近く、地下鉄の駅からもそう遠くないことから選択。安いので心配だったが、この旅唯一のバスタブ付きで部屋も広め。昭和のホテル感。フロントのお兄さんたちがフレンドリー。設備は古いが悪くはない。ただし、エアコンが部屋でコントロールできないタイプだったのでちょっと寒かった。

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昭和の日本のホテル感。部屋は広め

 

4~5日目:台南泊 JJ Wホテル(佳佳西市場旅店)¥20,832(2泊の価格)朝食付

少し奮発して、リノベデザインホテルに。場所はあまり考慮していなかったが、若者でにぎわう正興街に位置し、買物や食事に便利な立地だった。フロントをはじめ、店員はみな感じの良い若者だった。 taiwan0-05.jpg
入っていきなり洗面台だが、お洒落なデザイナーズルーム

 

宿をおさえたところで、次は鉄道だ。 ガイド本や個人ブログなどを参照しつつ、まずは台灣鐵路(台湾鉄道)のサイトの時刻表をチェックする。 こちらは日本語表示もできるので、事前に乗りたい電車に目星をつけておくとよい。 実際にオンライン予約(クレジットカード決済)ができるのは、乗車日の2週間前の午前0時(日本時間だと午前1時)。

ただし金曜日に予約すると、週末と次の月曜日の分まで予約できるようになっている。

わたしは偶然にも金曜乗車だったので、土日の分も一度で予約することができた。 特急(太魯閣号や普悠瑪号)はすぐに売り切れてしまうので、時間勝負。手元にパスポートとクレジットカードを用意し、午前1時にPCの前でスタンバイ。

まずは台北花蓮の列車だ。狙っていた太魯閣号が瞬殺だったので、次の候補の自強号を予約。台北から花蓮まで2時間19分の電車だ。花蓮→台東も自強号を予約。こちらは2時間10分。 続いて翌日の台東→高雄の自強号を予約。所要時間は2時間54分。 座席までは選べないが、これで東回りの移動手段は確保できた。予約番号が記された引換証画面を印刷して保存。

ちなみに、現時点では日本語時刻表ページからはうまくオンライン決済できないため、中国語版時刻表ページからオンライン決済することになる。 台鉄の切符の予約、決済、発券についてはこちらのブログ記事が大変詳しいので参考にさせていただいた。 「好吃台湾~はおちーたいわん~」 台灣鐵路(台湾鉄道)の時刻表検索・切符オンライン予約と運賃のクレジットカード支払い方法まとめ(時刻表検索編 2017年7月現在)

 

最後に、最終日の台南→桃園の新幹線を、台湾高鐵の日本語サイトから予約。 こちらはそれほど難しくなく、また、前回も当日窓口で買えるほどだったので、わりと出発直前に予約してみた。しかし予定が決まっていたら早く予約した方が割引率が高くなるようだ(最大35%)。わたしは10%オフのタイミングだった。 これで鉄道の手配も完了! 予約票を持って現地へ行くだけとなった。

ベトナム・ハノイ観光ツアー(2017年9月19日(火)~22日(金))

4年ぶりの海外旅行。ベトナムは7年ぶり2回目、ハノイは初訪問。

コトの発端は、8月のスペイン旅行をキャンセルしたことによる。 勢いで申し込んだものの、病後初の海外旅行で長時間移動することに体調面の不安を感じ始めたところ、バルセロナでテロが起きた…。 ツアー自体は決行とのことだったが、わたしは直前にキャンセルを選択をした。

それでも、やっぱり、どこかに行きたい。

 

旅行会社でパンフを漁り、1名から催行のハノイ観光付ツアー(JTBお買得旅)に決めた。 JTBはお値段高めなので普段はほとんど利用しないのだが、今回はいただいた商品券を利用し、一人部屋追加料金分を賄った。 前回のベトナム旅でホーチミンホイアン、フエを巡り、故郷のような心地よさを感じたのも決め手のひとつだ。

 

初日は午前10時成田発のベトナム航空。 地元から高速バスで1時間程度で空港につくはずが、なんとこの日は事故で高速が一部通行止めとのこと。 バスに乗るかやめるかは自己責任で…、とのことで、イチかバチかの勝負にでて、バスに乗り込んだ。 そんなに遅れはしないだろう…これが甘かった。 空港に着いたのは出発40分前。 成田のJTB職員の方の助けもあり、なんとか搭乗手続きをしてもらうことができ、出国審査へ。

結局、搭乗したのは出発15分前というギリギリのタイミングだった。 何が起こるかわからない。これからはもっと余裕をもって動かねば…。

 

久々の海外旅行は、早朝から気が気でない、波乱の幕開けだった。

ハノイ着は現地時間の13時過ぎ。 定刻通り到着し、入国審査を経て、ガイドさんが待つ出口へ。 スムーズに進めば、15時台にはホテルに着くかな~♪と目論んでいたが、同乗していく他の方々がなかなか集まらない。 入国審査やバゲージクレームも混んでいたのだが、どうやら違う出口にいたらしく…だいぶ時間をロスしてしまった…。

結局、ホテルに着いたのは、16時ごろになってしまった。 朝のバス遅れの件から移動でかなりの疲労感…。 本来は、この時間を利用してタンロン遺跡に行くつもりだったが、受付時間も過ぎ断念。 ホテルの近隣を軽く散策して、夕飯とカフェでゆっくりしてもう休息することに。 翌朝はハロン湾クルーズで出発が早いのだった。

 

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ホテル近くの路地。大通りから少し入るとこんな感じの路地がたくさんある

 

今回の宿泊先は、JTBのホテルランクBのハノイホテル(申込時にランクは選択できるがホテルは選択できない)。 ザンボー湖に面した立地だが、旧市街など観光スポットから離れているのが残念。部屋はシティビュー側だった。 日本の出張ビジネスマンもよく利用するようで、昭和のホテルといったイメージ。 建物は古そうだが、歯ブラシやスリッパなどのアメニティが日本のホテル並みに揃っていた。

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ザンボー湖よりホテルを望む。左の薄いピンクの外壁がハノイホテル

翌朝、バイキングでサラダとお粥を選んでの朝食。これが結構美味しい。 7時過ぎに迎えの車に乗って、大型バスへの乗り換えポイントであるニッコーホテルへ。

この日のハロン湾ツアーには33名の参加。家族旅行の方が多いようだ。 ハノイからハロン湾は片道4時間かかる。ガイドも運転手も2名体制。

途中、国営のお土産ショップでトイレ休憩をかねて、30分ほどの時間を取られる。 工芸品や宝飾品などの名産品をあれやこれやとすすめられ、お菓子やお茶の試食・試飲もある。たしかに美味しいがちょっと高い…。 スーパーで買えば安いんだけどね…と思いつつもいくつかお土産用にお菓子を買ってしまった。

 

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ハノイからハロン湾への途中、奈良のような風景。仲麻呂も見た景色だろうか…

 

車窓の風景を楽しみながらの4時間。 ハロン湾の船着き場に到着したのお昼頃。 ここでクルーズ船に乗り、ランチタイムとなる。 新鮮な魚介の料理は、どれも日本人の口に馴染む味付けだった。 前回も感じたことだが、概してベトナムの食事は日本人に合っていると思う。

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辺りの風景といえば、犬岩、ゴリラ岩、夫婦岩など、松島の遊覧船を思わせる見立て表現。 岩を何かに見立てたいのは万国共通なのだろうか。

正直、ハロン湾行きは消極的だった。ボロボロの木造ジャンク船に乗って水上生活者を見学するというイメージだった。なんとなく海賊の世界。 しかし、ユネスコ世界自然遺産だし、ハノイといえばハロン湾クルーズ。船に乗ってしまえば気分も上がる。

途中、1993年に発見されたというティエンクン鍾乳洞を見学。 なかなか立派な鍾乳洞だった。外は暑いのでひんやり感を期待して入ったが、中も蒸し暑かった…。 洞内のルートは整備され、照明でカラフルにライトアップされている。 こちらも観音さまやイルカやおっぱい(!)など、鍾乳石がいろいろなものに見立てられていた。 仏教徒だというガイドさんが観音さまに向かって合掌していたのが印象深い。

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シャンデリアのような鍾乳石

約3時間のクルーズを終え、ハノイに戻る。途中で行きに寄ったお土産店で再び休憩タイム。 蓮茶やコーヒーの試飲でひと息。 行きとは反対側の車窓の風景を楽しみながらの帰途だ。

ハノイに到着すると、ベトナム料理のレストラン「シーズンズ・オブ・ハノイ」で夕食タイム。 1902年に建てられたコロニアル建築は、フランス統治時代の軍幹部の邸宅だったらしい。 フォーや生春巻き、牛肉炒めなど、ちょっと量が多かったが、美味しいコース料理だった。 雰囲気もよく、別にオーダーした飲み物も安かったので、全体的にお手頃価格なのかもしれない。

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コースにでてきた生春巻き。ニンジンの装飾カットが凝っている

 

2日目はこれにて終了。 夜はホテル近くのスーパーで少し買い物。 早くも明日が滞在最終日。市内観光がモリモリの予定だ。 3日目は一日中予定がびっしり。

スケジュールと概要は下記の通り(順番は多少前後したかも)。

※昼食、夕食のレストランでの飲み物オーダー以外はすべて旅行代金に含まれる この2日間でハノイの観光はほとんど押さえてある感じ。 ただし、ホーチミン廟は定期メンテナンスの期間に入ってしまい、残念ながら見学できず。 その代わりが鎮国寺だった。

 

鎮国寺

ベトナム最古のお寺。 境内には歴代の僧侶の墓が塔のように建てられている。 堂内もお坊さんの像が祀られている。 門前ではミドリガメを売っている露店がいくつかあった。 ペットとして飼うらしい。 hanoi08.JPG
門の中央は仏さまの通り道なので人間は横から入る

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仏塔

 

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門前でカメや金魚が売られている

 

文廟

ベトナムで一番古い大学が置かれたところ。孔子も祀られているので、孔子廟とも。 亀形の土台の石碑には、歴代の科挙の合格者名が刻まれているという。 hanoi11.JPG
文廟の入口

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このような石碑がたくさん

 

ドンスアン市場見学

市場は日用品からお土産にもよさそうなキッチュな雑貨なども売られていて見ているだけでも楽しい。今回は見学のみ(観光客はボラれるのだと思う…)。

 

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市場の周囲はこのような果物屋さんなどがたくさん。仏手柑が山盛り

 

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市場内は業者向け店舗が。ここは洋服屋のディスプレイ用品専門店

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謎の顔…何屋さんなんだか

 

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昭和レトロっぽい食器

 

シクロ(人力車)乗車体験

縦横無尽なバイクと共存しながら走るが乗り心地は悪くない。

この目線ならではの景色も楽しめる。 hanoi17.jpg
シクロから撮影した旧市街の商店街

 

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シクロから気になった建物。後にここのカフェにはいることに

 

旧市街のハンコ屋さんでハンコ作ってもらう

ベトナムをイメージしたかわいい図柄に、自分の名前などを入れてもらえる。 わたしは天秤棒を担いだパンダ柄にした。

 

ホアンキエム湖を望むカフェ「COFFEE CLUB」で休憩(ドリンク1杯つき)

フルーツジュースが豊富。わたしはパッションフルーツジュースを頂いた。 ここは食事メニューも充実の様子。

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インスタ映えみたいなデコレーションだが、これはたぶんベトナムのデフォルト

 

玉山祠

ホアンキエム湖に浮かぶ祠。文・武・医の道教神を祀る。 ベトナムを中国支配から解放し、後黎朝大越国の初代皇帝となったレ・ロイ(黎利)に宝剣を授けたという伝説の大亀の?剥製がある。 この伝説のせいか、ベトナムは亀を大事にしているように思う。 hanoi20.JPG 本堂 hanoi21.JPG

伝説の大亀。何亀なんだろう?

 

フレンチレストランで昼食

昼食は「Maison Vie」にてフレンチのコース。 こちらもなかなか美味しいレストランだった。

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レストランはだいたいどこでもナプキンがこんな感じで蓮の花みたいになっている

 

オペラハウスを車窓から見学

1911年、パリのオペラ座を模して建てられた。中に入れるのは鑑賞客のみのため、外観見学。

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バッチャン村訪問(ハノイから40分ほど)

工房兼ショップで、絵付しているところなどを見学。 ショップでいくつかお気に入りを購入。

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手描きで絵付けをしているのは皆、美大などを出た方だという

 

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ショップにならぶかわいい器たち

ハノイへ戻り、「Moca Cafe」でスウィーツ&ティータイム(ドリンク1杯とお菓子つき)

アイスコーヒーをオーダーしたが、普段ブラック派のわたしでもそのまま飲むと相当苦かったので、添えられてきたコンデンスミルクを少し入れて飲む。 そもそもベトナムコーヒーはコンデンスミルクたっぷりで飲むものである。 合わせて出てきたチョコカップケーキはいたって普通の味だった。 ここでは時間に少し余裕があったので、すぐ近くのハノイ大教会と近隣の雑貨屋などを見る。

 

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天井が高く、お洒落なカフェ

 

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フットマッサージ(45分)

足先だけかと思いきや、足全体と頭や肩もほぐしてくれた。旅の疲れに効く。

 

水上人形劇鑑賞

もともとベトナム北部の農民が始めた娯楽とのこと。ベトナムの伝説や民話などいくつかのストーリーで構成されている。 歌やセリフはベトナム語だが、コミカルな動きで、言葉がわからなくても楽しめる。 ※写真撮影する場合は別途1$(2万VND)が必要

 

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ベトナム料理レストラン「Au Lac House」にて夕食

こちらもフランス人邸宅を改装したという素敵な建物。 ここの料理の味つけは好みだった。

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スズキの生姜ソース揚げ、空芯菜のガーリック炒め、海鮮炒飯

 

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ココナツジュースとベトナムプリン

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素敵な外観

 

夕食後は空港まで送ってもらう。 ガイドさんは全員のチェックインまで見届けてお別れ。 0時20分発のベトナム航空で帰途に。翌朝成田着。

 

ベトナムはやはり暑かったが、車移動が多かったせいか、思いのほか疲れは出なかった。 過密な観光スケジュールもシステマチックで滞ることなく、ホテルや食事もよく、さすがJTB様!という感じだった。 ただ、やはり自分ペースで見たいところに時間をかけられないというのが団体ツアーの残念なところ。

 

さて、わたしにはハノイでやり残したことがある。 初日に行きたかったタンロン遺跡は、かの遣唐使阿倍仲麻呂が761~767年まで赴任していた安南都護府があった場所でもある。 もちろん今は安南都護府の面影はないが、仲麻呂の足跡を感じたい。 また、今回行かれなかったホーチミン廟や一柱寺、博物館、美術館もいくつかあるので巡ってみたい。 旧市街での買い物、カフェめぐりといったまち歩きも楽しみたい。

あてもなく犬吠埼(2017年8月27日~28日)

「ほととぎす 銚子は国の とっぱずれ」とは、江戸時代の豪商、古帳庵が詠んだ句だとか。

千葉から鈍行に揺られ約2時間。その“とっぱずれ”の銚子に到着。

あてもない、気ままな旅が始まる。

銚子電鉄に乗り換え、車内で一日乗車券を購入。

銚子-外川(とかわ)間の6.4Kmを約20分で結ぶ単線は、1時間に1~2本程度しかない。

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JRのホームの先端が銚子電鉄銚子駅になっている

まずは、観音駅で下車し、飯沼観音・圓福寺へ。

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観音駅はかわいらしい佇まい

こちらは坂東33観音霊場 第27番札所となっているので、札所めぐりをされている方にはおなじみかもしれない。

正徳元(1711)年に造立された大仏や、平成21(2009)年完成の立派な五重塔などもある。

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仁王門から銚子駅方面に延びる市のメインストリート?的な通りは門前町の名残りか、商店街となっている。

すぐ近くに銚子漁港第一卸売市場もあるのだが、あいにくこの日は日曜日でお休み。

魚介の昼食処を探すべくブラブラするも、なかなかピンとくるものがなく、結局歩いて銚子駅まで戻ってきてしまった。

再び銚子電鉄に乗り、犬吠駅で下車。

空腹もピークなところで、駅前に回転寿司と魚料理の店「しまたけ水産」があったので、回転寿司の方に入る。

シャリはかなり小さいが、ネタの大きさがウリのひとつらしい。

はじめて名を聞く深海魚とか、やたらと大きいメカジキなど、普段お目にかかれないものを中心に5皿10貫をいただいた。

さて、犬吠といえば、犬吠埼灯台

子どもの頃、家族で日帰りで来たことがあるのだが、岬に立つ灯台の風景に何とも言えぬ不安感のようなものを覚えた記憶がある。あの感覚はなんだったのか。

(ちなみに、同じく子どもの頃、三浦半島城ヶ島灯台に行った時も同じ感覚を覚えた。岬恐怖症なのか…)

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灯台の入口にはおそろいの白いポストも

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犬吠埼霧信号所霧笛舎は登録有形文化財に指定された

また同じ感覚が甦るのだろうか…とちょっと期待して犬吠埼灯台に向かう。

99段のらせん階段を休みなく上ると、果てしない水平線が視界に広がる。

まさに「瑠璃色の地球」だ。

子どもの頃の不安感は全くなく、むしろ、穏やかな海の姿に癒される。

時が許せばずっと眺めていたいところだった。

(このときの脳内BGMはもちろん「瑠璃色の地球」。歌いだしそうになる…)

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灯台の上から眺める水平線

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白亜紀の地層が残る海岸。地球は生きている

灯台見学と、白亜紀の地層が残る海辺を少し散策した後は、銚子電鉄で終点の外川へ。

なんともレトロな駅舎と、小さな港町。好きな要素しかない。

駅から坂を下ると港へ出る。

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外川駅は古き良き木造駅舎

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多くの釣り船が係留する外川港

釣り船の船屋がいくつかあり、お食事処になっているところもある。

こういうところで新鮮な魚料理がいただけるのだろうなぁ。昼にここまで来なかったのを少し後悔。

そんな中、地元の子どもたちや車で乗りつける人が出入りする民家があった。近づくと、軒先がかき氷屋になっている。

せっかくなので、黒蜜氷(150円)をいただく。いちごやメロンなどのシロップなら100円とチープだが、氷は純氷を使っているようだった。暑い日のオヤツにはちょうど良い。

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もう少し、この港町をブラブラしたかったが、チェックイン時間も迫ってきた。

銚子電鉄犬吠駅に戻り、お迎えの車で宿へ。

犬吠埼には温泉宿がいくつかある。

温泉宿はおひとり様プランが少ないのだが、今回はお手軽な価格で一人宿泊もOKの犬吠埼観光ホテルに決めた。

いかにも、ザ・昭和の古い温泉ホテルだが、部屋はリノベーションしているらしく、海に面した窓辺には無印良品のソファ、大画面テレビが2台、マッサージチェアもあり、一人にはもったいないくらい。

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夕方、周辺の観光スポットを巡る無料のガイドバスが出るというので、参加することに。

外川の港町の築造、醤油製造も、江戸時代に紀州から渡ってきた人の手によるものだという。

その外川を通り、犬岩へ。

犬吠埼の地名の由来ともいわれるこの岩は、源義経一行が奥州へ落ち延びる際、海岸に残していった愛犬の若丸が鳴き続け、犬の形の岩になったものだという伝説がある。

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次は、屏風ヶ浦へ。高さ40m~50mの海食崖が約10Kmにわたって続く姿は「東洋のドーバー」ともいわれるらしい。

ちょうど日が落ちる前。屏風を夕日が照らす。

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車は「地球の丸く見える丘展望館」のある山を越え、灯台側に戻り、宿へ。

温泉で汗を流し、地元魚介を使った夕餉をいただき、さらにもう一度温泉につかり、就寝。

翌朝は日の出時刻(5時)に起きてみるも、雲が厚く水平線から昇る太陽を拝めず残念。

朝から温泉につかり、海と灯台を眺めながら朝食。

この日もとくに予定は決めておらず。

チェックアウト後、気になっていた満願寺というお寺まで送っていただき、拝観。

霊場巡りのテーマパークのようなお寺。諸国霊場を巡拝満願した方々の寄進により、それぞれのご本尊が祀られている。

ここを拝めば西国、坂東、秩父、四国の188ヶ所をお参りしたと同じご利益があるとのこと。

護摩祈願をお願いし、なにやら重たい「福袋」をいただいたのだが、中身はヤマサ醤油だった。

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補陀落山満願寺仁王門

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あれ、どこかで見たような?

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帰路はレトロな車両で

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犬吠駅遠景。ポルトガル宮殿風建築の駅舎は、関東の駅百選に選ばれている

拝観後は銚子に戻り、海鮮レストランや水産物即売センターを目当てに、銚子ポートタワーへ。

銚子港から利根川河口、茨城の波崎港まで見渡せる。もとはこのタワーが立っているあたりも海で、タワーの足元には夫婦ヶ鼻地層が残されている。

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銚子ポートタワーと、夫婦ヶ鼻地層

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タワーからの眺め。手前から銚子港、利根川河口、波崎港が見える

海鮮丼の昼食をいただき、お土産を物色。

地元産のものを売っているお店を吟味し(違うところで獲れたものを銚子で加工して売っているような店もあったので)、とろさばととろいわしの開き、銚子産の魚を使った缶詰などを購入。

これがまた、どれもとても美味しいものだった。

行きと同じく、鈍行に揺られて帰る。

行きと反対側の車窓からは、黄金色に輝く稲が一面にひろがっていた。

千葉は米どころでもあったのだなぁと実感。

あてもない旅だったが、千葉県内にはまだまだ魅力的なところがたくさんある。

近場でちょっと、ゆるりと過ごす旅もよいかもしれない。

銚子にはまた行きたい。海を眺めて、美味しい魚料理を食べたり、新鮮な魚を買ったり。

【関連リンク】

銚子市観光協会

http://www.choshikanko.com/

銚子電鉄

http://www.choshi-dentetsu.jp/

銚子ジオパーク

http://www.choshi-geopark.jp/index.html

犬吠埼観光ホテル

http://www.inubou.co.jp/

外川港のかき氷屋さん・市田商店

https://tabelog.com/chiba/A1205/A120501/12039866/

神戸塩屋の近代建築を巡る(2015年11月)

「塩屋」というタイトルの大江千里の名曲がある(1987年のアルバム「OLYMPIC」に収録)。

その舞台となっている場所はどんなところなのか、気になって訪れたのが、2014年9月。

夏休みを利用した奈良旅のおりに足を伸ばして、塩屋の街を少しぶらりとした。

お洒落な洋館のまち、という先入観を覆す、気取らない庶民的な田舎町、下町のような一面に惹きこまれたのだった。

 

で、突然思い出したように、2年前の見学会の記録を。

 

2015年11月28日(土)に、竹中大工道具館の企画展「近代建築 ものづくりの挑戦」(2015年10月31日(土)〜12月27日(日))の関連イベントとして開催された見学会「神戸塩屋の近代建築を巡る」に参加したときのものだ。

神戸塩屋に残る明治末から昭和初期の洋館をめぐり、地域のまちづくりと一体化した近代建築の活用の様子を見学するというもの。30名の定員に100名超の応募があったとのこと。

 

この日の集合場所は、山陽電鉄滝の茶屋駅。小さいけれど海の眺めが素晴らしい駅。

見学会の案内役は、塩屋在住で洋館の保存活用にもかかわっておられる竹中工務店の松隈章氏だ。

 

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滝の茶屋駅を降りた通りから

 

松隈氏を先頭に駅からぞろぞろと歩いて到着した1軒目は、ジェームス邸。

1934年にイギリス人貿易商アーネスト・ウイリアムス・ジェームスの自邸として建てらた洋館で、ジェームス没後は三洋電機創業者の井植歳男が所有し、同社の迎賓館などとして使用された。

2012年2月に神戸市の指定有形文化財となり、現在は、レストラン・結婚式場「ジェームス邸」として活用されている。

この日も結婚披露宴などが行われており、おじゃまにならないように見学。

 

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リビングの窓の取っ手が植物の蔓のような意匠

 

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塔と地下のバーラウンジの床にあしらわれた泰山タイルが印象的

 

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海を一望できる透明なチャペルは結婚式場としての利用にあたり、竹中工務店の施工により建てられたとのこと。

もしも私が神戸で生まれ育った若い娘だったら、絶対ここで式を挙げたいと思っただろうな、と思うくらい眺めがよくて素敵なチャペル。

 

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敷地内の隣の建物(車庫住宅)も気になる

 

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ジェームス山に登る入口には、こんな番所のような建物が

 

 

次は、ひと駅となりの塩屋にある旧グッゲンハイム邸へ向かう。

ジェームスがイギリス人のために開発した住宅地「ジェームス山」を越えてゆく。

外国のような大邸宅が立ち並ぶ。どんな人々が暮らしているのだろうか。

 

 

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Mt.Jamesと刈り込まれた植栽

 

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山を越えると海が見える坂道を下る

 

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こちらの洋館も気になるが、個人所有でどうなっているのかわからないそう

 

30分くらいかけて歩き、旧グッゲンハイム邸へ。

電車からもよく見えるこの洋館は、ライブやイベントも行われることでも知られている。

こちらでは珈琲と焼菓子をいただきながら、松隈さんとグッゲンハイム邸を管理されている森本アリさんのミニレクチャーを拝聴。

 

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2階のバルコニー部分

 

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2階の部屋

 

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木製のカーテンレール?は、和室の欄間的な和の意匠が

 

ドイツ系米国人貿易商ジャック・グッゲンハイム氏の住まいとして、1909年(1911年という説も)に建てられた。

震災を乗り越えたものの老朽化で長らく空き家状態だったという。

 

取り壊しの危機から家族で購入を決意し、その修理や管理、活用を行う森本さん。

塩屋のあたらしいまちづくりのリーダー的存在の方だ。

塩屋はそういった志ある若い人たちが住みついて、昔から暮らす人々と共存しながら、なにか新しい風を起こせるようなポテンシャルがある場所だと感じた。

 

最後は、旧グッゲンハイム邸のすぐ横にある、旧後藤邸。

赤のふちどりの三角屋根が可愛らしい建物は、1920年代(大正時代中ごろ)の建築。

表は洋館だが、その奥には和風の建物がつながる。和風の方に住まい、表の洋館は来客用としての用途らしい。

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赤がかわいい

 

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窓のところにいるのが、森本アリさんと妹さん

 

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玄関扉の上にはバラのステンドグラス。グッゲンハイム邸を見おろす

 

随所にモダンな意匠がちりばめられている。こちらも2階からの眺めがすばらしい。

現在は神戸市の管理下にあり、有効活用が望まれるところだという。

 

歴史ある古い建物を維持管理、保存していくことの厳しさは想像に難くない。

手放してしまえば、壊してしまえばどんなに楽だろうと思う所有者もいるだろうし、それぞれの事情もあるだろう。

「保存!保存!」といくら外野が叫んでも、当事者にその建物やその土地への愛着がなければ、なかなかひっくりかえすのも難しいのではないだろうか。

 

塩屋についていえば、海に山が迫った狭い地域に、古い街並と高台にはかつて多くの外国人が暮らした洋館が並んでいるという景観そのものが「塩屋」であり、その構成要素である「高台に見える洋館」がひとつでも減ってしまったら…、その「らしさ」が失われていくだろう。

 

魅力的なまちには、愛着をもってまちづくりをしようとする人(とくに若い人)が必ずいるような気がする。

森本さんのような心意気で愛着をもって育てる(保存、活用する)ことができる人がたくさんいればよいのだが。

 

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海沿いの道から眺める「ザ・塩屋」的な景観

 

 

おまけに、洋館だけではない塩屋の一面も。

 

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塩屋漁港

 

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この、ぎゅーんとした橋が好き

 

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こぢんまりした商店街

 

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八百屋さん

 

海沿いの不動産屋の物件案内を眺めながら、「坂が多いから、老後まで暮らすのは厳しいな」とか超現実的なことを考えてしまったが、もし若くて健康で時間的に余裕があれば、少しの間住んでみたかったなぁ、と思わせるまちだった。

 

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山陽塩屋駅の夕暮れ。「塩屋」の歌詞にでてくる2人はどこでどう過ごして、ここから始発で帰るのか。

 

 

参考URL:竹中大工道具館による見学会レポート