Strange Tortoiseの妄想博物館

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稲毛の近代建築散歩─千葉市ゆかりの家・いなげ(旧武見家住宅)編─


愛新覚羅溥傑仮寓の家
稲毛浅間神社のほぼ境内と言ってもよい場所にあるのが、千葉市ゆかりの家・いなげ。
外観はどこか懐かしい昔の家という趣だが、こちらも保養地の別荘として建てられたものである。
建築は1913(大正2)年と推定されている。
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階段を上った高台に玄関がある。一見、普通の古い民家のよう。


元は東京市神田区の鈴木家(水飴商「笹屋」)が所有する別荘で、愛新覚羅溥傑(あいしんかくら ふけつ、清朝最後の皇帝・溥儀の実弟)と侯爵嵯峨実勝の長女、浩(ひろ)が、1937(昭和12)年4月に結婚後、半年ほど新婚生活を送った家だ。
当時、溥傑が現在の千葉市稲毛区天台にあった陸軍歩兵学校に在籍していた関係で、この家に仮寓したという。
政略結婚でありながらも、二人は仲睦まじく、後にこの地での生活の思い出をそれぞれ書画や伝記に遺している。

建物はL字型の平屋の主屋と離れで構成されており、室内は、欄間や腰付障子、照明など、随所に凝った意匠がみられる。

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庭から建物を望む
 
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欄間や障子の意匠が美しい主屋の座敷
 
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庭にある離れ
 
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増築された洋間。離れの建築と同時期と考えられている
 
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格天井と亀甲格子の欄間、障子の構成美に萌える…
 
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亀甲格子の欄間。ガラスにも霜のような模様が施されている
 
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欄間の透かし彫りはいかにもこの地らしい、波と松
 
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照明のデザインがレトロモダンでかわいらしい。欲しい
 
1996(平成8)年に所有者である武見氏より千葉市が取得し、翌年4月から「千葉市ゆかりの家・いなげ」として公開されている。
保養地としての稲毛の歴史を今に伝える貴重な和風別荘建築であり、愛新覚羅溥傑夫妻が居住していたという歴史もあることから、2016(平成28)年に千葉市地域有形文化財に登録された。

千葉市ゆかりの家・いなげ千葉市地域有形文化財
千葉市稲毛区稲毛1-16-12
公開時間     9:00~16:30
休館日:毎週月曜日・祝日(5月3~5日除く)・年末年始(月曜祝日は、その日と火曜日)
入館無料

稲毛の近代建築散歩─旧神谷伝兵衛稲毛別荘編─

海岸線の名残りと別荘地
現在の国道14号のあたりがかつての海岸線で、現在の浅間神社のあたりの海岸段丘の松林の景観は「関東の須磨」と呼ばれ、たくさんの観光客が訪れた。
1910(明治43)年のガイドブック『避暑案内』には「磯馴松幾百本と生茂り播州の舞子の浜の趣がある」と紹介されている。

国立国会図書館デジタルコレクションより『避暑案内』該当ページ

確かに、かつてのようにここが海岸だったら…。たしかに神戸の須磨・舞子あたりの海岸線に似ているだろうということは想像に難くない。
須磨・舞子の景観に魅せられたわたしが、この地の近くに居を構えたのも、偶然ではないのかもしれない。

そんな風光明媚な土地柄、多くの文人墨客が避暑に訪れ、作品にも反映されたという。

ここに別荘を構えたのが、神谷伝兵衛である。
日本のワイン王といわれた明治の実業家で、デンキブランでおなじみの浅草「神谷バー」、茨城県牛久のワイン醸造場「シャトーカミヤ」創始者として知られている。

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1918(大正7)年に建てられた稲毛別荘は、初期の鉄筋コンクリート造として現存する希少な建物。
現在、隣接の市民ギャラリーのところに和風の母屋があったそうだが、現在は洋館のみが残されている。
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まず、庭に面した5連のアーチが続くベランダが眼に入る。
当時はここから優雅にワイングラス片手に海を眺めていたのだろう。
しかし、伝兵衛はこの別荘が建ってからわずか4年後に亡くなっているので、存分に味わうことはできなかったのかもしれない…。

玄関ホールに入る。
照明が下がる天井装飾には、葡萄のレリーフが施され、2階へと続く階段は優美な曲線を描いている。
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階段はケヤキの一枚板

右手は洋間。床は寄木による幾何学模様。暖炉のタイルも素敵で、モダンなイメージ。

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寄木による床の幾何学模様、モダンな暖炉のタイル


2階に上がると雰囲気は一変。外観からは想像できない本格的な書院造の和室と、暖かい陽光がふりそそぐ広縁。
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天井のカッコよさに目を奪われたが、これは囲炉裏に燻された煤竹に縁取られた折り上げ格天井だそうだ。
また、床柱にも葡萄の古木が使われていたり、欄間にも葡萄の透かし彫りがあり、いかにもワイン王らしいこだわりが随所に見られる。
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燻された煤竹による格天井
 
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葡萄の古木を利用した床柱
 
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葡萄の透かし彫りを施した欄間
 
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一枚板をくりぬいた木瓜


こんなに随所にこだわりがあり、贅を尽くしたような建築だが、設計者は不明とのこと。

しかし、館内で気になる資料を目にした。
外壁のレンガの継ぎ目の目地の仕上げが「覆輪目地(ふくりんめじ)」という、東京駅の赤レンガに使われた技法と似ているというのだ。
鹿島建設株式会社のWEBサイトより)

ほんの小さな共通点だが、東京駅を手掛けた辰野金吾、あるいはその師であるジョサイア・コンドルに影響を受けた人の手によるのかも…と想像をめぐらしてみては…とある。

ほぼ同時期の建築なので、想像の域とはいえ、そんなところもこの建築を見る楽しみのひとつになるだろう。


旧神谷伝兵衛稲毛別荘(国有形文化財
千葉市稲毛区稲毛1-8-35
開館時間 9:00~17:15
月曜休館(祝日の場合は翌日)
入館無料

稲毛の近代建築散歩─旧日本勧業銀行本店編─

葛飾から千葉に転居して一年になろうとしている。
海岸へは自転車で10分、歩いて30分程度。
天気が良い日にはふらりと、波音を聴きながら沖をゆく貨物船や沈む夕日を眺めたりという贅沢ができるのが大変ありがたい。
いっぽう、埋立地ニュータウンなので歴史ある場所はないのだろうと思っていたが、埋立前の旧海岸線沿いに、興味深い近代建築が残されていることを知った。

寒さも緩んできた桃の節句の日、散歩がてら、見物に。

千葉トヨペット本社(旧日本勧業銀行本店)
散歩の下調べをしていたところ、初めて知ったこちらの建物。
実は転居先候補で内見したマンションのすぐ近くにあったのだが、全く気がつかなかった。
千葉トヨペットのWEBサイトにも「本社屋の紹介」の記載がある(多少、事実関係が不明瞭な個所もあるが…)。
 
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この建物は、建築家・妻木頼黄(つまきよりなか)と武田五一の共同設計により、1899(明治32)年、日本勧業銀行本店として東京麹町区に建てられた(現:千代田区内幸町・みずほ銀行内幸町本部ビル)。

当初は木造2階建だったそうだが、現在は鉄筋コンクリート造となり、屋根は建築当時の木造銅葺が残されているという。
唐破風のある寺院のような木造の銀行建築なんて、当時としてもあまりなかったのではないだろうか。地方都市に擬洋風建築の信金などはあるようだが…。

↓当時の日本勧業銀行本店の写真(ジャパンアーカイブズのサイト)
https://jaa2100.org/entry/detail/047588.html

ちなみに、妻木頼黄による同時期の銀行建築には、横浜正金銀行( 現:神奈川県立歴史博物館、1904(明治37)年、重要文化財)がある。日本勧業銀行とは全く異なる、ネオ・バロック様式の西洋建築だ。

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重要文化財 旧横浜正金銀行本店本館( 現:神奈川県立歴史博物館、2013年撮影)


武田五一は京都を中心に活躍した建築家だが、関東には他に東京都文京区本郷に求道会館(1915(大正4)年、東京都指定有形文化財)が現存しているのみ。
以前、本郷を散策している途中に偶然見つけ「武田五一の建築がこんなところに。珍しいなぁ。」と思っていたものだった。

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求道会館(2016年撮影)

1926(大正15)年9月、日本勧業銀行は本店改築のため、この建物を京成電気軌道株式会社(現京成電鉄)に売却した。
京成電鉄は谷津遊園(かつて習志野市にあった遊園地。1982年閉園)に移築し、「楽天府」と名付けて娯楽場、食堂などとして利用された。
谷津遊園は、子どもの頃に遠足や家族で行ったことがあるが、そんなに歴史の古いところだとは思わなかった。現在は名残りとして谷津バラ園が復元されている。

習志野市立図書館/デジタルアーカイブ「昔の写真で見る習志野の歴史」
https://adeac.jp/narashino-lib/catalog/mp001280-100010

その後、千葉市庁舎として1940(昭和15)年12月に現在の千葉県警の場所(千葉市中央区長洲)に移築され、1961(昭和36)年まで使用された。

↓市役所時代の建物について記載あり(千葉市図書館のサイト)


1963(昭和38)年の新市庁舎落成にともない、市内への移築を条件に、千葉市から千葉トヨペットが譲り受け、1964(昭和39)年秋から復元工事にかかり、1965(昭和40)年10月に完成したのが現在の建物である。木造から鉄筋にしたことで、窓など市役所時代とは印象が変わっている。
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鬼瓦には、勝又グループの社章が埋め込まれている(文化財指定前に入れたらしい)。
1997年(平成9年)、国登録有形文化財に指定。
 
それぞれ違う用途での移築を重ね、多少、姿を変えながらも現在も大切に使われている歴史ある建物。

現在地の前には桜並木があり、毎年「千葉トヨペット桜まつり」が行われているそうなので、春先には桜と建物のコラボレーションも楽しめそうだ。
 
千葉トヨペット株式会社

台湾一周鉄道旅 おまけ情報など

台湾は、日本でもおなじみのコンビニ(セブンイレブンファミリーマート)も充実している。
暑いので、持ち歩きや風呂あがりの飲み物などを買うのによく利用した。
初日、悠遊卡に1000元をチャージしたが、旅の期間中の交通費、コンビニでの利用あわせても余裕があるくらいだった。

今回、よくお世話になった飲み物など。
お茶は無糖を選ぶのを忘れないように。
最近は「日式緑茶」などと書かれているものもある。
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「原萃」シリーズは、台湾コカ・コーラの商品。
ほぼ毎日のように買っていたのは東方美人茶。20元。
赤いラベルは統一企業の「茶裏王」の烏龍茶。日本で言うトクホのお茶で、ちょっと濃いめの味。こちらは25元。
どちらのお茶もさすが本場の味という感じで、ペットボトルながら美味しいのだ。
「中華甜愛玉」は愛玉子ゼリー。さっぱりレモン風味でデザートにちょうどよい。
コーヒー飲料も充実してきた。写真にあるのはパッケージもかわいらしいカフェラテ系。
写真にはないが、コールドブリューのブラックコーヒーのボトルなどもあり、思いのほか美味しかった。
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こちらはTAIT TEA。台南・安平にあった徳記洋行は現役の企業で、そちらが出している烏龍茶。
安平で見たときは買わず、帰りの空港で買って持ち帰ってきた。空港なので80元したが、セブンイレブンで49元で売っているものらしい。ちょっと高めだけど、その分、本格的な味。ボトルのデザインもおしゃれ。

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空港でお茶と一緒に買ったサンドイッチ。蔬菜三明治=野菜サンド。
こちらもパンがふんわりしていておいしかった。

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林百貨で買ったお土産は、キノコチップスとピーナッツのお菓子。
キノコチップスは、椎茸、マイタケなどがあり、味もプレーン(塩味)、わさび味、黒胡椒味などがある。
サクサクで一度手をだしたらとまらない美味しさ。山盛り買ってきたかったところだが…。
ピーナッツの方は、花生酥(フヮーセンスー)といって、おこしのようなもの。
日本で言う「さくさくアーモンド」のイメージ。
パイナップルケーキもいいけれど、最近はキノコチップスが個人的イチオシ。


さて、台湾で買い物をすると、レシートにくじ番号が印字されている。
これは2か月に1度、当選発表があり、現金が当たるという宝くじのようなもの。1等(特別賞)はなんと1000万元。
わたしもこの旅すべてのレシートの番号をチェックしたところ、1枚、200元が当たっていた!
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当選番号の発表日は隔月25日。
財政部稅務入口網のサイトで確認できる。

外国人でも台湾の郵便局へ行って換金可能(要パスポート)とのこと。
今回の分は2018年3月5日までが換金期間とのことだが、それまでに再訪は無理かな…。

台湾一周鉄道旅 2017年10月17日(火):台南→帰国

さて、最終日。

ホテルの朝食は前日までに2種類のメニューから選ぶことができる。

昨日は、牡蠣入りサバヒー粥にしたので、今日はもう一つの野菜スープにしてみた。

どちらもカフェ飯系の味だが、少々薄いかも…。お上品ってことかな。

 

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前日の朝食、牡蠣入りサバヒー粥

 

朝10時頃にホテルを出発。

途中、旧台南測候所の建物を眺めたり、名残惜しむように歩いて駅まで向う。

 

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旧台南測候所

 

台鉄台南駅と高鐵(新幹線)の台南駅の乗換駅となる沙崙駅までは在来線で約20分の距離。

台南駅で念願の台鉄弁当を購入し、沙崙へ向かう。

 

高鐵台南駅の売店もちらりとのぞいたところ、美味しそうなマンゴープリンがあったので購入。

台南駅から桃園駅までは、およそ1時間20分。

新幹線は結構混んでいる。途中の嘉義駅あたりからも結構、観光客が乗ってくる。

 

車内で台鉄弁当とプリンでランチ。

見た目より優しい味のお弁当、そして、マンゴープリンがかなり美味しかったのだ。

後で調べると、台南・安平の有名プリン店「依蕾特(elate)」のものだったらしい。

日持ちがすれば、お土産にしたい味。安平にはカフェもできたらしいので、訪れてみたい。

 

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台北方面に向かう窓の外の天気は、どんどん曇り空に。雨も降っているようだ。

高鐵桃園駅に着き、MRTに乗り換えて、桃園空港第一ターミナルへ。

 

桃園のバニラエアのチェックインカウンターはEVA航空が代理で行っており、チケットもEVA仕様だった。

機内持込荷物の重量チェックもクリアし、出国エリアへ。

 

少し時間に余裕があったので免税店エリアをぶらついていると、スマホ充電ロッカーなるものが。

ちょうど充電も減ってきたところなので、試しに少し充電していくことに。無料だし、これはとても便利。

忘れて置いて帰ってしまう人もいそうだが…。(写真撮ってきたはずが無くなっていた)

 

帰りも窓際の席だった。

小雨の桃園を飛び立って、少しすると、後方に夕日が。

夕日に見送られているようで、よい気分だ。

 

わりと晴れ女であるわたしとしては、この旅前半の大雨にはかなりへこんだが、

後半、高雄~台南は天気も良く、時間も足りないくらい歩き回った。

 

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夕日に背中を押されながら、「必ずまた来よう」と心に誓ったのだった。

台湾一周鉄道旅 2017年10月16日(月):台南・安平

台南滞在2日目は、朝からバスで安平(アンピン)へ。
安平へ行く路線バスのバス停は、ホテルからも近いところにあったのだが、時刻表がない。
ここで活躍するのが、スマホアプリ「台南公車通」だ。
近くのバス停の案内や、そのバス停にあとどのくらいでバスが来るかがわかる優れモノ。
そして、台南のバスも悠遊卡が使える。
時刻通りに来たバスに乗り、約20分で目的の「徳記洋行・安平樹屋」バス停に着いた。
もっと郊外なのかと思って朝から来てみたが、思いのほか市街地から近い。
安平は、かつて海上貿易で栄えた街。
台湾最古の城として観光スポットになっている「安平古堡(あんぴんこほう)」は、オランダ統治時代に築かれ、当時はゼーランディア城と呼ばれていた。
それもあり、古い街の中には西洋風の建物もいくつか残されている。
まずは、徳記洋行・安平樹屋へ。
入場料は50元。徳記洋行はイギリスの貿易商社。その建物が残されている。中は博物館のような展示施設となっている。
日本統治時代には「大日本塩業会社」の営業所として使われていたという。
安平樹屋は、その倉庫だったところ。放置されたまま、ガジュマルに覆い尽くされてしまった姿が奇妙な光景となり、安平の観光名所となっている。
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徳記洋行の建物
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安平樹屋の入口
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ガジュマルに覆われた廃屋
 
安平は朝からとても暑い。
安平樹屋のお土産ショップには簡単なドリンクスタンド的なものもあり、アイスキャンデーの貼り紙に目を奪われる。
なかなかお目にかかれない梅味のものをいただくことに。梅干(しかも種あり)も入っていた。さっぱりとした素朴な味。
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梅アイスキャンデー
 
このショップのBGMがキリンジ(兄弟時代の)で、店の雰囲気ととてもマッチしていてよかった。
かわいいエコバックも購入し、レジのお姉さんとキリンジいいよね、的な会話をして店を出る。
 
ここからは少し歩いて、夕遊出張所へ。
台南には塩田もあり、塩産業が昔から盛んだったという。
夕遊出張所は、日本統治時代にあった塩専売局の安平支局跡。古い日本の木造家屋といったおもむきの建物。
中に入ると、カラフルな塩の山が。366日、誕生日ごとの色と性格占い的な解説がある。
お土産用に小さい小瓶に詰められたものも売っていた。せっかくなので記念に購入。
塩ソフトクリームにもかなりそそられたが、さっき梅アイスキャンデーを食べたばかりだし…と自粛。
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夕遊出張所の建物
 
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366日の塩を展示
 
それにしても暑い。
そろそろお昼ご飯と思いつつ、安平古堡へ立ち寄って見学。
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安平古堡
 
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安平古堡の近くには、台湾本島で最も古い媽祖廟、天后宮がある
 
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なぜかお獅子の頭だけに花飾り
 
この周辺は牡蠣のオムレツが名物で、専門店が軒を連ねる。
わたしは安平のもうひとつの名物、エビ捲きを食べてみたかったので、その店へ向かう。
お目当ての「周氏蝦捲」では、エビ捲きと、またまたサバヒーつみれ汁を(合わせて100元)。
まったく胃袋が足りないグルメ天国、台南。
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エビ捲きとサバヒーつみれ汁
 
食後は延平老街をぶらぶら散策。ゼーランディア城の城下町として発展したという。
なんとも味わい深い、懐かしいような商店街は、個人的には原宿竹下通りとか巣鴨地蔵通りを想起させられた。
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延平老街の商店街
 
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駄菓子問屋のようなお店
 
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おじいさんが売るえびせん屋さん
 
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路地に入ると趣がかわる
 
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レンガ造りの建物のカフェなど
 
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台南第三信用合作社 安平分社の建物はかつてのドイツ総領事館らしい
 
えびせんを売るおじいさん、アメ横のような駄菓子屋さんなど、昭和の日本的なものがある。
裏路地に入るとレンガの建物も残り、小さな雑貨屋やカフェになっているところもあった。
結局、朝から午後4時近くまでゆっくり過ごしてしまった。
今度は午後スタートで、夕日を観て帰るというのもいいかもしれない。
延平老街のバス停から市街地に戻る。
ホテルでひと休みするも、もうこの旅最後の夜。
夕食とデザートと買い物を兼ねた散策にくりだす。
まずは前回も訪れた神農街へ。カフェや雑貨屋が軒を連ねる、お洒落スポット。
ちょうちんの灯りが綺麗なので、日暮れ頃に訪れるのがよい。
以前気に入った路地も健在で嬉しい。
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日暮れの神農街
 
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お気に入りの路地
 
夕飯処を物色しつつも正興街へ戻り、目星をつけていた「小満食堂」に入ることにした。
ここは、日本の定食屋、おばんざい屋のような台湾家庭料理の店。
築100年の建物をリノベーションしており、日本の古い民家を思わせる内装になっている。
メニューは週替わりの1種類のみで、360元と台湾めし的には少し高め。
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日本の古民家のような内装
 
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この日のメニュー
 
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日本の家庭料理にも似た、ほっこりとやさしい味のおかずたち。
お店の店員さんもほっこり系で、日本語が少しわかる方が「味、どうでしたか?」的なことをきいてきたりする。
台南は本当に胃袋が足りない。あちこちに美味しそうなものがあるので、もっと長く滞在して食べ歩きたい。
デザートは、どうしてもプリンがのったかき氷が食べたかったので、「冰郷」へ。
これがまた予想以上のボリュームで完食できず…。周りは2人位でシェアしていた。
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「冰郷」もひっきりなしにお客さんが
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ボリューム満点
 
最後に、林百貨へ行ってお買い物。台湾、台南ならではのお菓子や雑貨をお土産に購入。
ステキ空間にあらためてうっとり。ここの店員として働きたいくらいだ。

台湾一周鉄道旅 2017年10月15日(日):高雄→台南

いよいよ最終目的地の台南へ向かう日。この旅で初めて雨の降っていない朝を迎えた。 午前中は高雄を観光し、午後、鈍行電車で台南へ向かう予定。 朝食後、チェックアウト前に散策。まずは気になっていた建物、高雄市立歴史博物館へ(入館料無料)。 なるほど、1939年、日本統治時代に市役所として清水建設によって建てられただけあって、同時代の日本にもある帝冠様式の建築によく似ている。

 

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高雄市立歴史博物館

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エントランスの階段

 

館内ではやきものの歴史、高雄の漁業の歴史の特別展示、228事件の展示、さらには日本の新鋭写真家の写真展なども行われていた。 やきものの展示が良かったので、簡単な図録を購入。

 

日がさしてきて南国のような暑さがやってきた。 貢茶(ゴンチャ)にて、微糖のマンゴーアイスティーで喉の渇きを潤す。 ホテルに戻り、チェックアウト。出発まで荷物を預かってもらうことに(朝のフロントはアンタッチャブル柴田似のお兄さん)。 ここから歩いて港に向かい、フェリーで旗津へ行くことに。 フェリー乗り場(鼓山輪渡站)に行く途中、広い芝生の公園があった。旧高雄港駅跡らしい。 旧駅舎は鉄道資料館になっており、前には汽車が止まっている。その横にはライトレールの駅があり、懐かしい汽車と最新のライトレールとのコラボ姿を拝めるので鉄道マニアにはうれしい場所かも。

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左はライトレールの駅、右に汽車が

 

フェリー乗り場までの道のりも、なかなか魅力的な建物が並ぶ。 かき氷の店も軒を連ねている。 さて、旗津(チージン)とは、かつて半島で高雄の街と陸続きだったのが、船を通すため切り離されて島となっているところ。 フェリーで5分程度で行き来できる。フェリーも悠遊卡を使用できる(往復40元)。 taiwan4-05.jpg
船上から旗津のフェリーターミナルを望む

 

フェリーを降りてすぐのメインストリートの入口には高雄で一番古いという天后宮、そして店先のいけすの魚介類を調理してもらえる海産物屋が立ち並ぶ。 島の端の高台には灯台もあるが、そこまでの時間はないので、海岸へ出てみる。 海水浴場として整備されているが、この日は台風の影響で波が荒くて遊泳禁止。サーファーだけが楽しんでいる。 ちょっと鄙びたビーチリゾート感があり、江ノ島か熱海あたりか…といった趣き。 taiwan4-06.jpg
海産物屋が立ち並ぶメインストリート

 

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旗津海水浴場

 

海産物屋の呼び込みの喧騒を避け、裏通りを通ってフェリー乗り場へ戻る。 途中にあったローカルな虱目魚(サバヒー)専門店で昼食をとることに。 地元のおじさんなどで賑わう店。わたしはサバヒー魚丸(つみれ汁)をいただく。 暑い中、ちょうどよい塩かげん。肉燥飯とセットでサバヒー汁を食べている人が多かったのでわたしも食べればよかったなぁ。

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主に地元のおじさんでいっぱい

 

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サバヒー魚丸(つみれ汁)

 

フェリーで高雄港側に戻り、デザートに、かき氷と豆花の店「福泉」でマンゴーかき氷を。 地元の人がひっきりなしに訪れる有名店。隣にもかき氷店があるのだが、みんなこちらにやってくる。 マンゴーなどフルーツ系から、抹茶やミントチョコなど台湾では珍しいイメージのものもあった。 なにやらカラフルな氷を食べている子どもたちも。 taiwan4-23.jpg
福泉」のマンゴーかき氷

 

ホテルに戻り荷物をピックアップし、地下鉄で高雄駅へ。 そこから台鉄の鈍行列車(悠遊卡使用)に乗って台南へ向かう。鈍行だと約1時間の道のり。 ボックス席の窓際でのんびり。天気が良くて嬉しい。 4年ぶりの台南には、お目当ての建物もいくつかあるのだ。 まずは到着した台南駅の駅舎。こちらは前回、工事中で外観が拝めなかったのだ。 想像通りかわいらしい外観の駅舎でわくわく。 taiwan4-10.jpg
台鉄台南駅

 

台南の地図はすでに脳内に刷り込まれている。 ホテルまではタクシーを使えば早いが、道中、再会したい建物があるので歩いていくことにした。 まずはこちら。大きな通り(中山路)をちょっと入ったところにある建物。隣には祠もある。 taiwan4-11.jpg

前回もつい惹きこまれ、写真を撮っていた。その時はおじいさんがやっている荒物屋さんだったと思う。

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前回(2013年)撮影したときのもの

 

今回は、建物や正面の看板はそのままで、なにやら若者でにぎわうカフェ?のようなお店になっていた。 不思議な立地と、カッコいい建物。おじいさんのお店じゃなくなっても、良い感じに再利用されていてなんだかうれしい。 台南にはこんなふうに古い建物をリノベーションしてカフェや雑貨屋、宿泊施設などになっているところがたくさんある。 その少し先を行くと、この旅一番再会したかった建物No.1が見えてくるはずだ。 が…、様子がおかしい。工事のシートがかけられているではないか! あの白い外壁が剥がされている!

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シートに被われる建物

 

1938年、日本統治時代に建てられ、現役の台南消防署(正確には台南市消防局中正分隊というらしい)。 前回、「ラブ・ストーリーは突然に」ばりの出会いを果たし、そのあまりのけなげな可愛らしさに思わず抱きしめたくなった建物なのである。 taiwan4-14.jpg
前回出会った時の姿

 

老朽化でついに壊されてしまうのだろうか…やわらかい風になって君をつつむことができずにごめんよ…と泣きそうになりながら近寄ると、この建物の歴史と、修復工事の進捗状況が写真パネルで丁寧に紹介されているではないか。 日本統治時代の建物を大切に守る心意気。塔にたくさん巣づくりをしていた燕たちを保護している様子の写真もある。

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君のためにつばさになって君を守り続けてくれるのは台南の人たちだったんだね…(泣) きれいに生まれ変わったらまた逢いに来なければなるまい。 ここで若干、力を使い果たし、ホテルまでの残りの道のりがとても遠く感じられた。 台南の2日間を過ごす宿は、思ったよりにぎやかな正興街に面した佳佳西市場旅店だ。

 

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佳佳西市場旅店外観

こちらも古いホテルをデザイナーや建築家によってリノベーションされた施設。 わたしの部屋もデザイナーズルームだった。ドアを開けていきなり洗面台には驚いたが、女性向けっぽい、やさしい感じの部屋。 暑いが湿気もなく、心地いい陽気の台南。 ぶらぶら歩いて、夕食は担仔麺の元祖の店と言われる「度小月」へ。 人気店らしく、外であらかじめメニュー用紙にチェックを入れ、番号を振られて待たされる。 少し待つとカウンターに通された。 担仔麺に煮卵をトッピングしたものを注文。 美味しいのだが、量が少ないっす…。あと2杯は食べたいっす…。というボリュームだったのが今一つ残念。

 

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す、少ない

 

完全に満たされない腹のまま、林百貨へ。こちらも前回来たときはリニューアル工事中だった。

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林百貨外観

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林百貨の階段

 

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林百貨のエレベータの床タイル

 

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林百貨内のカフェ。夜は空いている

 

夜10時まで営業しているので、ゆっくり買い物できるのがうれしい。今日は偵察。 雑貨や服など、売っているものもお洒落。お土産にちょうどよいお菓子やお茶など、食料品も種類が豊富。 カフェやイートインスペースもある。ここで八宝肉包と酸梅湯をいただきお腹を満たす。

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イートインスペースでいただいた肉包は日本語で「ハヤシ百貨店」と焼印が

 

なんだかホームに帰ってきたような安心感のある台南のまち。 少しぶらついて、ホテルへ戻る。