Strange Tortoiseの妄想博物館

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台湾ちょっといい話─パンダのくつ下─

ほぼ2年もほったらかしていたこのブログ。 ひさびさに思いだして、書きたくなったことがあったので更新してみる。

2013年、わたしは遅い夏休みを9月の連休時にあて、台湾一人旅へ出かけた。 台湾には日本統治時代の建物が多く遺され、現在も大事に活用されているというのを知り、実際に見てみたくなったのだ。 台北では、目的の店があった。 「青田七六」という、日本家屋がレストランとなっているお店だ。 地下鉄東門駅を降り、賑わう永康街を抜けると、少し異国情緒を感じる落ちついた住宅街があらわれる。 青田街といわれるこの通りには古い日本家屋もちらほら。 かつては昭和町といわれ、その名残の骨董市場「昭和町文物市集」なんていうところも健在だ。

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南国の樹木が茂る落ち着いた住宅街

 

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こちらも日本家屋を活かしたインテリア事務所?

 

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骨董市場「昭和町文物市集」

 

そんな中に佇む「青田七六」は、1931年に建てられ、台北帝国大学の足立仁教授が住んでいたという。 ランチには日本式の定食も出しているとのことなので、どんなものか、やってきた。 建物内の座敷席は地元の人々で満席。わたしは縁側の外に設けられたテラス席のようなところへ通された。

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「青田七六」建物外観

 

水餃子定食を注文し、サトウキビジュース的なものと黒糖ゼリーをデザートに。 味はとりわけ美味っていうわけではなく、あちらでの日本の定食の解釈なのかな~、という感じだった。 価格は日本円にして1000円位なので、台湾ではちょっとお高めかもしれない。

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水餃子定食

 

食事を終え、建物内を見学したい旨を店員のお姉さんに伝えると、 「人の脂で床材が傷むのを防ぐため、くつ下を履かないと中には入れない」というようなことを言われた。 この日のわたしは素足にビルケンのサンダル…。 そして「この辺にはくつ下売っている店もありませんし…」と。 おお、残念…としょんぼり顔をしていたら、別のお姉さんが、「ちょっと待って!」と言ってどこからか子ども用?とおぼしき新品のくつ下を持ってきて「これ履いてください!」と。 わたしが「おいくらですか?」と尋ねると、「いりません、どうぞ!」、 最初のお姉さんも「よかったね!」という感じで、ありがたく頂戴することに。 早速履いて、中を見学させていただいた。(以上会話は互いにたどたどしい英語)

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くつ下履いて念願の建物内部におじゃま!

 

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建物裏から。ガラス戸の格子がかわいらしい。

 

個室はすべて満席でお客様がいたため、廊下から少しちらっと見る程度だったが、とてもよい雰囲気。 日本人が建て、住まい、その後、台湾大学の馬廷英教授の住まいとなり、現在は台北市古跡と定められているこの建物。 それを大事に遺し、使ってくれる気持ちと、黄色いパンダのくつ下をくれた店員さんの優しさに触れ、よい思い出の場所となった。 いつかは中でゆっくりと食事やお茶を楽しみたい。 その時は忘れずに、くつ下を用意して。

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これがその時のパンダのくつ下。今でも大事にとってある

 

建物内部についてはこの記事が詳しい

台北ナビ) http://www.taipeinavi.com/food/719/
青田七六WEBサイト(日本語ページ) http://qingtian76.tw/jp/about.php
※↑こちらによると、どうやら、今はお店でもくつ下を売っている様子